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変わりゆく生活スタイル

私は昭和33年生まれです。今年で満57歳になりました。若い頃はそうでもなかったのですが、最近、日々の生活スタイルが時代の変遷につれて徐々に変化しつつあることを実感することが多くなってきました。

教師として勤め始めた頃は、職場の職員集団の団結を第一に考え、親睦のための飲み会や親睦旅行などが頻繁に行われていた時代でした。もちろん今でも親睦旅行などを行っているところはありますが、その頃は半ば義務のような感覚で(もちろん楽しくもありましたが…^^;)参加していたような記憶があります。大きな学校でしたから、全員参加による旅行と学年ごとの旅行の、1年に2回の旅行がありました。いつもほぼ全員が参加していましたが、今思えば、もしかしたら、いやいや参加していた先生方もいたのかもしれません…。

最近はどこの職場でも親睦旅行をあまり行わなくなりました。飲み会や食事会などについても同様です。集団よりも個人を、仕事よりも家族を重んじる風潮が強くなってきたためでしょう。でも、これはこれで私は良い変化だと思っています。行きたくないものを無理矢理参加させても、親睦など深まるはずもないからです。

隣近所のつきあい方も変化しつつあります。例えば、お葬式。ここ最近、近親者のみで行う、いわゆる家族葬が主流となってきました。また、ほとんどの方がご香料を辞退されるようにもなりました。

隣保班のつきあい方もだんだん簡素化しつつあります。私が住んでいる地域はまだいなかですので、全戸15件から成る班の集会が年に2回あり(20年ほど前は毎月ありました)、会費の集金をしたり、地域の行事のことを話し合ったりしていますが、少し都会に行くと、そのような会がまったくないという地域もめずらしくありません。マンションで暮らしていて、隣に住んでいる人の顔も知らない、なんていうびっくりするような話を聞くこともあります。

結婚式もしかり。昔は、新郎新婦、双方の家族の親戚縁者がこぞって出席し、大人数による大がかりな結婚式が当たり前でした。それに比例してかなりの費用もかかりました。この頃は、ごく親しい友人と親、兄弟姉妹だけの式というのもめずらしくなくなってきています。

生活スタイルの変化ということに関して、6月5日付朝日新聞の「天声人語」に次のようなことが書かれていました。とても興味深かったのでご紹介します。

シチズンホールディングスが全国のビジネスマン400人に聞いた調査で、「1週間に何日自宅で夕食をとるか?」の問に対して「毎日自宅で」と回答した人が50%もいたそうです。25年前には13パーセントでした。また、金曜日の帰宅時間が遅くなる(たぶん会社帰りにちょっと一杯、というサラリーマンが多かったのでしょう)と答えた人が25年前には75%もいたのに、現在では35%になっているそうです。バブル景気の時代と今とでは時代背景がずいぶん違いますが、それでも、仕事よりも家庭を大切にする人が増えてきていることは、とても良い傾向だと思います。

生活スタイルは時代の流れによって刻々と変化していきます。ただ、それらがすべて良い方向に変化しているとは限りません。見失ってはならないものまで見失ってしまわないように、知恵をはたらかせ、人々が本当に幸福になるための生活スタイルはどうあるべきかを慎重に見極めながら、それらの変化を受け入れていきたいものです。

平成27年6月17日

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最終更新日:2016510