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たばこ

12月7日(月)に、本校校医である、山入こどもクリニックの山入高志先生と「たばこ問題を考える会・和歌山」の畑中孝之氏をお迎えし、6年生の児童を対象に喫煙防止教室を実施しました。

畑中氏は、ご存じの方も多いと思いますが、今から17年前に喉頭癌を患い、声帯の摘出手術を受けたことで声が出なくなってしまった方です。幸い、他所への転移はなく、声帯の摘出だけですんだそうですが、呼吸は喉に開けた穴を通してでないとできないそうで、そこに異物や病原菌が入らないようにすごく気を遣っていると聞きました。

声帯をなくしてしまえば当然声が出なくなります。しかしながら、食道を声帯のように震わせる訓練をすることで、話ができるようになりますし、また、畑中氏は、喉に密着させることで喉を通過する空気の流れを読んで、それを音声に変える道具を使用されていました。声帯があるときのように自由自在に話せるわけではありませんが、必要最低限のコミュニケーションを図るには大変便利な道具であると思いました。

周りの人たちから「癌になるから止めとき」と何度も忠告されていたにもかかわらず、1日50本ものたばこを吸い続け、ついに癌を発症してしまったそうです。その後悔と、家族に迷惑をかけたという自責の念から、世の中から一人でもたばこを吸う人が減ってほしいという願いを込めて、ボランティアで学校や施設等を訪問してくださっています。

実は、私自身もたばこの経験があります。大学に入学してしばらくしてから吸い始めました。親が吸っていましたので、あまり何も考えることなく吸い始めてしまいました。でも、今はもう吸っていません。28歳の時に止めました。健康が気になり始めたのと、子どもが生まれたことがきっかけでした。たばこを吸った経験がある人でないと分からないと思いますが、いったん吸い始めたたばこを止めるということは、ものすごくつらいことなのです。止めてから約30年になりますが、それだけ年月が経っても、お酒の席などで他の人の吸っているたばこの匂いを嗅ぐと、つい吸いたいなあ、と思ってしまうことがあります、それだけ中毒症状がきついということでしょうね。恐ろしいことです。

最近、中国の大気汚染の原因となっているPM2.5のことがニュースでよく話題になります。今朝のニュース番組でも、北京市内で掃除機のノズルの先に白い布をかぶせ、その布越しに外の空気を吸う実験をしていました。少しの時間吸い込むだけで、白い布が黒く汚れてしまいました。でも、たばこの煙はこの比ではありません。口に含んだたばこの煙を、口にティッシュペーパーを当てて吐き出すと、一瞬で紙が真っ茶色になってしまいます。これが自分の肺だと思うと本当にぞっとします。病気にならない方がおかしいですね。

畑中氏が人工の音声で語り出すと、ざわざわしていた子どもたちが一瞬でしんと静まりかえりました。それだけインパクトが強かったのでしょう。たばこは、いったん覚えてしまえば、止めることは至難の業となってしまいます。「最初の1本を口にしないこと。」このことが最も大事であろうと思います。最近の若者は、啓発効果もあってか、たばこを吸う人が徐々に減っているそうです。とても良い傾向ですね。このまま、どんどん減っていって、たばこによる健康被害に苦しむ人がいなくなることを心より願っています。

平成27年12月10日

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最終更新日:2016510