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交通マナー雑感

日本では、車と歩行者では、どちらのほうが「威張っている」と思いますか? 最近思うのですが、どうも日本では車の方が歩行者よりも威張っているような気がしてならないのです。「威張っている」というのは変な表現ですが、要するにどちらの方が尊重されているだろうか、ということです。車一台がやっと通れるような狭い道路でも、車が容赦なく通行し、そこを歩く歩行者はたいへん肩身の狭い思いをしています。少しでもよけるのが遅ければ、容赦なくクラクションを鳴らされることもしばしばです。道路を横切ろうと横断歩道で待っていても、止まってくれる車はめったにありません。そんな環境でいると、自動車を運転しているとき、つい自分自身も歩行者を軽視してしまうことがあるのはとても悲しいことです。

10年ほど前に、ニュージーランドの首都、ウェリントンで2ヶ月間生活したことがあります。そこで感じたことの一つが、「なんと交通マナーが良いのだろう!」ということでした。

道路を横断しようと、横断歩道の手前まで行くと、車はほぼ100%の確率で止まってくれます。考えれば当たり前のことなのですが、私にとってはとても新鮮な驚きでした。

ウェリントンではバスに乗って大学に通学していましたが、毎朝、バスの中でたくさんの高校生たちといっしょになりました。初めての通学の日、私がバスに乗りこむと、先に座席に座っていた一人の高校生がスッと立ち上がり、席を私に譲ってくれました。その子だけが特にマナーが良いから、というのではないのです。次の日も、その次の日も、どの高校生も何の躊躇もなく座席を譲ってくれるのには本当に驚きました。

ニュージーランドでは、少し郊外に出ると、普通の道路でも自動車の制限速度はほとんど100km/hとなります。ところが、町中に入ると、その制限速度がいっぺんに40km/hに変わります。何と60km/hも減速しなければならないんです!

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交通マナー雑感の写真3 交通マナー雑感の写真4

ニュージーランドやオーストラリアでは、日本と同じく人は右側、自動車は左側通行となっています。道路標識も直感的に分かりやすいものが多く、日本人でも比較的楽に自動車の運転ができる国です。私もレンタカーを借りてあちこちに行きましたが、ほぼすべてのドライバーが忠実に制限速度を守っておりました。日本では、制限をつい10km/hオーバー、なんてことも時々ありますが、ニュージーランドでは、それはとんでもないことなのです。私の同僚は、オーストラリアでレンタカーを借りて運転しているとき、つい日本と同じような感覚で運転して検問で引っかかり、帰国してから高額の罰金を支払ったという経験があります。

この日本でも、昔に比べれば道路事情はかなり良くなっていると思います。私が子どもの頃は、歩道なんてものはほとんどなかったように思うのですが、今は、3~4人が横に並んでも歩けるくらいの広い歩道がついた道路も見かけるようになりました。しかしながら、道路の改善に人々のマナーが追いついていないように思います。日本人の礼儀正しさ、マナーの良さが取り沙汰されることが多くなった昨今ですが、まだまだ欧米人に比べれば真似すべき点が多々あるように思うのです。物質的には本当に豊かになった日本ですが、今後は文化面でさらなる飛躍が期待されるところですね。
平成27年5月7日

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最終更新日:2016510